Q&A 再雇用の申し入れ期日は?

 

Q.
当社は、従業員数30数名のタクシー会社です。
来月60歳になる従業員(仮名)青木さんがいます。彼は、若手の指導育成に欠かせない人物ですので、60歳の誕生日を機に、現在の給料の70%で、再雇用したいと考えています。
問題は、まだ青木さんに再雇用のことを伝えていないことです。
1か月前の申し入れでも法律違反にはならないでしょうか?

ちなみに…
就業規則には、「60歳定年、その後は、希望者全員を再雇用。再雇用後の労働条件は1年更新の雇用契約書による」と、規定しています。5年前に1名だけその条件で再雇用した人物がいます。


A.次の順でみていきましょう。
1.就業規則が周知されているか?
    2.労使慣行は? 

1.就業規則が周知されている場合


就業規則が周知されていれば、法的には問題ないと考えます。ただし、労働条件については、労使の話し合いが必要です。


 そのときに注意していただきたいことがあります。再雇用後も労働時間や責任の重さが、従前と変わらない場合は、賃金の引き下げがモチベーションの低下につながることもあります。当人が持っている知識や技能が貴重なものであればあるほど、配慮が必要です。

 

 

2. 就業規則が周知されていない場合


就業規則が周知されていない場合は、労使慣行が問題になります。従業員1名の先例で労働慣行ができたのか?と問われると、1名だけの先例では、労使慣行の形成とまではいかないでしょう。

では、再雇用の申し入れはいつまでにすれば適切なのか?
解雇と違い、引き下げ申し入れ期限の設定は法律ではなされていません。解雇規定の類推適用すれば、せめて最低でも1ヶ月前には申出していただきたいところです。

再雇用は、法的には、新たな労働契約の成立です。
しかし、本人にとっては、労働時間・休日・職務内容・責任などが、現在と変わらないようなら、労働条件の引き下げに他なりません。

本人の生活や気持の問題を考えると、期日に余裕があった方がよいことは、いうまでもありません。本人の事情や期待度にもよりますので、一概には言えませんが、私の個人的意見を言わせてもらうなら、せめて3カ月~6カ月は猶予があった方がよいという気がします。

得がたい従業員さんとの間にわだかまりができないように、法律だけを見るのではなく、向き合って理解を求めてみてください。それが、青木さんのためだけでなく、企業の業績にもつながると思います。
そして、今後のために、従業員全体に就業規則の周知をはかることをお勧めします。

尚、定年に関しましては、
被保険者本人に支給される「高年齢雇用継続給付金」。
企業に支給される助成金「定年引上げ等奨励金」
があることを申し添えます。




根拠条文:民法92条 
     労働契約法8条
 「商大八戸の里ドライビングスクール事件」(平成7年3月9日:最高裁第一小法廷)